ホーム 新着記事 議会三団体の活動 令和2年度「地方議会・議員のあり方に関する研究会」(第8回)

議会三団体の活動

令和2年8月24日「地方議会・議員のあり方に関する研究会」(第8回)

   総務省に設置された「地方議会・議員のあり方に関する研究会」の第8回目の会議(WEB会議)が開催され、本会より、川上幸博・前地方行政委員長(出雲市議会議長)、安達和彦・前指定都市協議会会長(神戸市会議員)が出席しました。最終の研究会となった第8回目の会議では、報告書のとりまとめの審議となりました。報告書(案)説明の後、各構成員による意見交換が行われました。
   川上前地方行政委員長からは、まず、小規模市町村の議員報酬のあり方、議員の請負禁止の緩和、立候補環境の整備の3つの課題について、3議長会の要望を受け止めて前向きに検討がなされたこと、その上で、地方制度調査会でも改めて審議されたことを述べ、地方制度調査会の答申を踏まえて、請負禁止の緩和と立候補環境の整備について早期の制度改正の実現を求めました。
   議員報酬のあり方については、議会として小規模市町村の議員報酬引上げに向けて、住民の理解が得られるよう努力を続ける考えを示し、財源的な裏付けとなる地方交付税単価の継続的な充実を求めました。
   地方議会議員の法的位置付けについては、全国都道府県議会議長会から具体的な条文案が示されており、これをたたき台に検討を進めるよう求めるとともに、選挙制度の抜本的な見直しにつながる改革案については、全国の市議会を一括りにして改革案を議論し、結論することは適当でなく、全市議会から意見聴取し、政府与党、有識者その他関係者が十分時間をかけて議論を重ね、慎重に検討を深めるよう強く求めました。
   最後に、同報告書(案)の「今後の検討の方向性」については、議会や議員のあり方などについて幅広く検討を進めていくに当たって、「本報告書で指摘した様々な意見も踏まえ、団体規模に応じた議会のあり方についての新たな選択肢の提示等も含めて引き続き検討することが考えられる」との記載に関連して、平成30年3月の総務省の「町村議会のあり方に関する研究会」で提案された「集中専門型議会」「多数参画型議会」を選択肢として提示することが念頭にあるのではないかとの懸念を述べ、本会や全国町村議会議長会は同構想に反対であり、これまで二元代表制を堅持する立場から、現場の議会運営にマッチしない問題点を詳らかにしてきたことを説明。これまでの問題提起への回答と議論の深化を求めました。
   また、安達前指定都市協議会会長からは、まず、議会の権能強化について、契約・財産関係の議決対象範囲の拡大や、議長への招集権の付与、予算修正権制約の緩和などいくつかの項目にわたり、3議長会共通の要望として、既に15年にわたってその実現を求めているが、本研究会においても「引き続き検討」とされたことは誠に残念であるとの考えを示しました。
   その上で、契約案件については、現在、「工事又は製造の請負」に議決対象が限定されているが、近年、契約の種類も多様化している上、「リース」や「レンタル」などの契約で、契約金額全体が巨額に上るものが増加しており、こうした契約が、長の執行権の下、議会のチェックを受けずに執行されているのが実情であるとし、財産の取得・処分に係る面積・金額の要件についても、地域経済の状況などを反映し、財産価値には地域ごとに大きな開きがあると指摘。このような諸状況を踏まえ、各自治体が、地域の実情を考慮した基準により条例で議決対象の要件を定めることができるよう求める制度改正要望の実現を強く求めました。
   また、地方議会・議員の位置付けを法的に明確化する要望も先送りされてきた課題であると指摘。要望に対する懸念として、議員活動の制約や市町村の規模の差異が挙げられているが、既に全国都道府県議長会から具体的な条文案が示され、同条文案を全国815の市議会に提示し、特段の異論がなかった事実を述べ、都道府県議長会の案をたたき台として本格的な検討をはじめるよう強く要望しました。
   このほか、地方議会議員の厚生年金制度への加入については、研究会の議論では、議長会サイドだけでなく有識者構成員からも積極的な発言があったとの認識を示したものの、報告書(案)の「十分な議論が行われることを期待したい」との記載に対し、「主体的な姿勢が十分に見えない指摘にとどまったことは、極めて残念である。」との考えを述べ、政府与党一体となった検討を強く求めました。
   選挙制度の見直しについては、慎重に審議し拙速に結論しないことを強く求めたほか、政令指定都市の区域に係る道府県議会議員と市議会議員の選挙制度のあり方や政務活動費のあり方の再検討についても、検討を深めるよう要望しました。
   最後に、議会権能の強化、地方議会議員の法的位置付け、厚生年金制度への加入については、地方分権時代にふさわしい地方議会制度を確立する上で欠くことのできない重要な課題であるとし、次期第33次地方制度調査会では、これらの課題をすべて取り上げ、真摯な議論が行われるよう求めました。
   意見交換後、報告書(案)については全体として了解を得たこととされ、字句の修正を只野座長に一任し、修文を経て報告書を公表することとされました。

発言する川上幸博・前地方行政委員会委員長(出雲市議会議長)


発言する安達和彦・前指定都市協議会会長(神戸市会議員)


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