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民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定し、夫婦同姓を義務付けています。
しかし、そのことにより、改姓で社会的な不利益を被ったり、事実婚を選択せざるを得ない人が相当数いるといった事態が生じています。
一方、選択的夫婦別姓制度の導入は、家族の絆を弱め、伝統的な家族観を壊してしまうのではないかといった懸念や、子どもの姓をどうするのかなど、家族をめぐる様々な問題が生じるといった意見もあります。
平成30年2月に内閣府が公表した「家族の法制に関する世論調査」の結果では、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」という「選択的夫婦別姓制度の導入に賛成」が42.5%、「導入に反対」が29.3%、「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」という「通称使用は容認」が24.4%となっており、様々な意見が存在します。
また、平成27年の最高裁判決において、夫婦同氏制を定めた民法第750条の規定は憲法第24条に違反するものではないとしながらも、「夫婦同氏制の採用については、嫡出子の仕組みなどの婚姻制度や氏の在り方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、この点の状況に関する判断を含め、この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである」と付言されています。
しかし、現在のところ国会での審議には至っておらず、加えて、選択的夫婦別姓制度については、導入を求める意見も多くある一方で、当人の人生を左右する大きな問題であることから、十分な議論がもとめられます。
よって国会及び政府は、選択的夫婦別姓制度について、様々な意見や社会情勢を踏まえた上で、深く慎重に議論するよう強く求めます。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。 |