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市名
国立市
都道府県名
東京都
人口
76
(千人)
件名
日本で最初に個人情報保護に関する条例を制定した自治体として、法律による自治体の個人情報保護制度の標準化について慎重な検討を求める意見書
本文  わが国の個人情報保護法制は、国の立法に先駆けて地方自治体が条例を制定してきた。その最初のものは、市議会での指摘を受けて1975年に制定された「国立市電子計算組織の運営に関する条例」である。国立市では、同条例を基に1986年に自己情報コントロール権を保障する「国立市情報公開及び個人情報保護に関する条例」を制定し、市議会決議を受けて2003年に「国立市個人情報保護条例」に全面改正し、その後も個人情報の一層の保護を図る条例改正を重ねてきた。  地方自治体が保有する個人情報の範囲や取り扱い方法は、自治体ごとに条例で規定されている。国立市の条例では思想・信条等に関わるセンシティブ情報の収集や個人情報の目的外利用は原則禁止され、特に必要がある場合であっても、予め審議会の意見を聴かなければならない。  一方、国が個人情報保護関連3法を施行したのは、国立市の条例から30年経た2005年である。2016年には、ビッグデータとして活用するための「非識別加工情報」の仕組みが導入され、法の目的に「新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現」のための「個人情報の有用性」の配慮が盛り込まれるなど、地方自治体の個人情報保護制度とは根本的な部分で異なっている。国の個人情報保護制度が変質してきた背景には、多種多様な個人に係るデータをビッグデータとして利活用し、データビジネスの活性化につなげたい産業界の意向がある。産業界は、地方自治体が保有する個人情報についても、その範囲や取り扱い方法が異なることが「民間による行政データ活用の大きなハードルになる」(2019年第12回経済財政諮問会議・有識者議員提案)として、個人情報保護法制の一元化を求めてきた。  これらの動きに対して、地方自治体サイドでは、個人データの広範な利活用に道を開く個人情報保護法制の一元化に慎重な姿勢を取ってきた。国の個人情報保護委員会が地方自治体や地方三団体と意見交換を行うために設置した「地方公共団体の個人情報保護制度に関する懇談会」は第4回電話会議(7月3日)で打ち切られたが、複数の自治体側参加者が、個人データの利活用や検討の進め方に懸念を表明した。懇談会の打ち切り後も、全国市長会は「データ利活用に向けた課題の認識に国レベルや民間サイドと温度差がある」ことから「地方公共団体の意見を十分に聞きながら、混乱が生じないよう慎重に検討を進めること」等、4項目を要請し(9月7日「個人情報保護制度の見直しに関する検討会」)、全国市議会議長会は「個人情報保護については、国の法律より自治体の条例が先行した経緯もある。自治体が納得できる形で丁寧な進め方をしてほしい」との趣旨の要請を行っている(10月13日「地方六団体と総務大臣の意見交換会」)。  地方自治体が慎重な検討を求める中、政府は、地方自治体ごとに異なる個人情報の取り扱いに共通ルールを規定し、標準化する個人情報保護法改正案を2021年の通常国会に提出しようとしている。  よって、国立市議会は日本で最初に個人情報保護に関する条例を制定した自治体議会として、自治体の個人情報保護条例を法律で標準化し、一律に個人データを利活用することに対しては、地方自治体の意見を十分に聞きながら、納得できる形で丁寧かつ慎重な検討を行うことを求める。  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出するものである。 2020年11月18日 東京都国立市議会
提出先
※提出先は複数選択できます。
内閣総理大臣内閣官房長官総務大臣その他
提出先 内閣府特命担当大臣
提出先 その他
個人情報保護委員会委員長
可決日
2020/11/18