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現行の民法は、婚姻時に夫婦のいずれか一方の姓を改め、夫婦同姓とすることとしているが、社会的な信用と実績を築いた人が望まない改姓を余儀なくされることで、自己同一性が喪失され苦痛を伴ったり、一部の資格証で旧姓の使用が認められなかったり、姓を維持するために法的な保障の少ない事実婚を選択せざるを得ないなどの問題が生じている。
本年6月には、経団連においても、旧姓を職場で通称として使用する日本独特の仕組みが企業にとってビジネス上のリスクとなり、企業経営からも無視できない重大な課題であるとし、選択的夫婦別姓制度の早期導入を政府に提言された。
政府は、旧姓の通称使用の拡大に向けた取組を進めているが、ダブルネームを使い分ける負担や管理コストの増加、個人識別の誤りのリスクを増大させるなどの問題も指摘されている。
また、少子高齢化による一人っ子同士の結婚や子連れ再婚、高齢での結婚が増え、改姓を望まないと考える人や改姓をしなければならないことから結婚を諦めてしまう人がいるため、一層の非婚や少子化につながる要因にもなっている。
このような状況から、国連の女子差別撤廃委員会は、日本政府に対し、女性が婚姻前の姓を保持する選択を可能にするよう、再三にわたり民法の改正を勧告している。
さらに、令和3年6月の最高裁決定においても、夫婦の氏に関する制度の在り方については、国会で論ぜられ判断されるべきとされたところであるが、依然として国会での議論は進んでいない状況である。
よって、政府並びに国会におかれては、社会に開かれた形で、選択的夫婦別姓制度の積極的な議論を行うよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |