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現行民法は、婚姻時に夫婦のいずれか一方の姓を改めることとしているが、社会的な信用と実績を築いた人が望まない改姓を余儀なくされることで、姓を維持するために法的な保障の少ない事実婚を選択せざるを得ないなどの問題が生じている。また、家族の在り方も多様化し、女性活躍が推進される現代において、社会の考え方や価値観も変化してきている。
政府は旧姓の通称使用の拡大に向けた取組みを進めているが、ダブルネームを使い分ける負担や管理コストの増加、個人識別の誤りのリスクを増大させるなどの問題も指摘されている。
こうした中、令和3年6月に示された最高裁判所の決定では、夫婦同姓制度を「合憲」としつつも、夫婦の氏についての制度の在り方は「国会で論じられ判断されるべき事項にほかならない」とし、国会における議論を促している。
選択的夫婦別姓制度は、「家族で同じ姓の方がいい」と考えるカップルが引き続き夫婦同姓で結婚できる一方で、必要なカップルは夫婦別姓を選べるようにするものである。これは、誰も改姓による不利益を案ずることなく結婚・出産し、老後も法的な家族として支え合える社会を実現することにつながる。
よって、多様性を認める社会、男女共同参画、基本的人権の尊重の観点から、これら世論の動向や最高裁判所の決定の趣旨も踏まえつつ、国会及び政府の責務として制度の在り方を議論していかなければならない。よって、国会においては、社会に開かれた形で選択的夫婦別姓制度の議論を積極的に行うよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |